【FXの基礎】通貨単位・レバレッジの話
外為オンラインが提供しているFXシステムトレードのiサイクル2をはじめ、FXを提供している各社では、それぞれ取引できる通貨の単位が定められており、これを「取引通貨単位」と言います。
また、各社の方針ごとに「最低取引通貨単位」として、例えば「1ポジションあたり1,000通貨単位から取引可能」、「10,000通貨単位から取引可能」といった具合に、取引を行うに際して、「最低限◯◯通貨単位からでなければならない」というルールが付されています。
1 「1通貨単位」とは
①各通貨ペア毎の「1通貨」とは
では、「1,000通貨」、「10,000通貨」と言いますが、そもそも「1通貨(単位)」とは何を意味するのかについてです。
一例として、FXの取引可能通貨ペア毎に、1通貨単位は
- USD/JPY(米ドル/円)=1米ドル(1通貨単位)
- EUR/JPY(ユーロ/円)=1ユーロ(1通貨単位)
- AUD/JPY(豪ドル/円)=1豪ドル(1通貨単位)
- NZD/JPY(NZドル/円)=1NZドル(1通貨単位)
となっています。
②これを「最低取引通貨単位」に換算してみる
つまり、
例)通貨ペア「USD/JPY」で取引をする際、現在の相場が「1米ドル(1通貨単位)=100円」だった場合、
「甲FX社の最低取引通貨単位=1,000通貨単位」の取引を行おうとすると、
- 【考え方】1米ドル(1通貨単位)=100円 ✕1,000(最低通貨単位)
- 【必要資金】=10万円
ということになるのです(その時「USD/JPY」の相場によって可逆的に変動)。
2 「レバレッジ」とは?
①「レバレッジ」という仕組み
では、上記「1 例)」の際、甲FX社の最低取引通貨単位(1,000通貨単位)で取引をしたい場合、実際に10万円の資金が必要ということになるのでしょうか?
ここで、「レバレッジ」というFXの仕組みが活きてきます。
本来であれば先の取引では10万円の資金が必要になるところ、その資金を抑えつつ「1,000通貨単位」での取引が可能なものとなっています。
「レバレッジ」とは、端的に「お金を担保にすることで、その何倍(日本のFX会社では最大25倍)ものお金を借りてトレードすることができる」仕組みとなります。
②「レバレッジ」取引の一例
先の例で言えば「レバレッジ1倍」で取引を行うということは、
- 【考え方】1米ドル(1通貨単位)=100円 ✕1,000(最低通貨単位)
- 【レバレッジを加味】=10万円/1(レバレッジ1倍)
- 【必要資金】=10万円
「レバレッジ2倍」で取引を行うということは、
- 【考え方】1米ドル(1通貨単位)=100円 ✕1,000(最低通貨単位)
- 【レバレッジを加味】=10万円/2(レバレッジ2倍)
- 【必要資金】=5万円
「レバレッジ25倍」で取引を行うということは、
- 【考え方】1米ドル(1通貨単位)=100円 ✕1,000(最低通貨単位)
- 【レバレッジを加味】=10万円/25(レバレッジ25倍)
- 【必要資金】=4,000円
※現在の相場が「1米ドル(1通貨単位)=100円」だった場合に「USD/JPY」1、000通貨取引を行うものと仮定
となります。
③「レバレッジ」のメリット・デメリット
つまり、「本来であれば1、000通貨の取引を行うのに10万円の資金が必要なところ、FXではレバレッジの仕組みにより、最低4,000円の資金で1,000通貨の取引を行うことが可能」であり、少額の資金からでもFXを行うことができるのです。
ただし、これにはメリット・デメリット双方が存在することになります。
上記「※」部分でレバレッジ25倍で取引した場合を例で見ていきます。
◯レバレッジをかけることによるメリット
少ない資金で大きな取引(利益を期待すること)ができます。
例では、相場が「1米ドル(1通貨単位)=100円」の際に「USD/JPY」1,000通貨(=1,000ドル)の取引を「レバレッジ25倍」で行うのですから、必要資金は4,000円で済むことになります。
つまり、
【「1米ドル(1通貨単位)=110円」に上がった場合】
- 【開始額】4,000円(必要資金)✕25(レバレッジ25倍)=10万円(レバレッジにより借りた額)
- 【決済額】1米ドル(1通貨単位)=110円 ✕1,000(最低通貨単位)=11万円
- 【利益】11万円(決済額)ー10万円(開始額)=1万円
となり、4,000円の資金で1万円の利益を得ることができました。
◯レバレッジをかけることによるデメリット
買った時に大きな利益が出るのと真逆で、負けた時に多くの損失を被ります。
【「1米ドル(1通貨単位)=90円」に下がった場合】
- 【開始額】4,000円(必要資金)✕25(レバレッジ25倍)=10万円(レバレッジにより借りた額)
- 【決済額】1米ドル(1通貨単位)=90円 ✕1,000(最低通貨単位)=9万円
- 【損失】9万円(決済額)ー10万円(開始額)=△1万円
となり、(レバレッジを1倍で運用していれば、10万円の資金が9万円になる程度で済むところ)4,000円→△6,000円と元本割れし、取引資金が消し飛んでしまいました(厳密には、FX各社は「ロスカット」ルールを定めており、この例では△6,000に至る前に強制決済により資金保護を図っています・・・が、決済しなければ含み損はまだ損が確定した訳ではなく、相場反転でプラス決済にできる可能性があるにも関わらず、強制的に損失が決済されるため、事実上大打撃を受けることになります)。
④「レバレッジ」のかけ方
レバレッジの仕組みは、「①」のメリットがある反面「②」のように、高倍率でレバレッジをかければ一気に資金が消し飛んでしまう危険性を孕んでいます。
また、レバレッジの倍率は、原則として自らが「この取引はレバレッジ◯倍で行う!」といったように意図してかけるものではなく、例えば甲FX社の取引口座に10万円入金した上で、前記条件で取引を行った場合には、自動的にレバレッジは1倍となりますし、4,000円しか入れずに前記条件で取引を行った場合には、自動的にレバレッジは25倍として運用されることになります。
つまり、取引口座への入金額と実際に運用する取引数量(額)によって、かかるレバレッジは自動的に決まってくるというわけです。
⑤「レバレッジ」は程よくかけることが最適解
レバレッジを全くかけないのは、せっかくのFXのメリットを活かしていないため、メリットとリスクのバランスを見ながら、自身がFX社の口座に入金した額で、3~5倍程度のレバレッジを意識して運用することが(特にポジションを多く持つことになるFXシステムトレードなどでは)重要だと言えます。
また、突然の暴落等、急激な相場変動の際に、前記「②」のようなロスカットを受けないためにも、有事の際に追加入金可能な余裕資金を控えさせておくことも大切です。