FXシステムトレード(自動売買)にそこそこの元手資金が必要な理由
僕が運用している外為オンラインの「iサイクル2」をはじめ、アイネット証券・ひまわり証券の「ループ・イフダン」、マネースクエアの「トリラピ」、インヴァスト証券の「トライオートFX(ETF)」など、あらかじめ決めておいたルールに従って継続的・機械的にトレードするFXシステムトレード(自動売買)で安定的な利益を上げようと思った場合、そこそこの元手資金が必要となってきます。
それぞれの提供会社(又はそれを紹介している記事)の中には、システムを運用するにあたっての最低資金を比較的低く、例えば「10万円から」なんて説明をしていたりしているものもあります。
もちろん、システムの運用そのものは可能なのですし、そこに一切の嘘はないものと断言できるのでしょう。
更には、「システムを稼働させたタイミングで相場がシステムの意を汲んだ方向に動き続ける」など、凄まじい幸運に恵まれた場合は、それで利益を見込むことが可能なのかも知れません。
ただし、現実的には中々厳しいものがあると僕は考えます。
FXシステムトレード(自動売買)は、(いくら稼働可能だからといって)最低稼働ラインで運用すべきではありません。
潤沢な資金があるに越したことはないですが、せめて最低限、FXシステムトレードのメリットを活かせる程度の資金は準備したうえで運用する必要があります。
その理由は次のとおりです。
1 最大ポジション数を多く取ることができない
①iサイクル2 実際の選択画面
FXシステムトレードを提供している会社の多くは、1ポジション当たりの最低通貨は1,000通貨単位としています。
この画像は、 iサイクル2のランキング形式で僕が現在(2019.06.13)運用可能なプログラムの中から、ポジション方向「買」で過去3ヶ月の実績として優秀なものを1位から順次表示させたものになります。
◯新規注文可能額について
右上の「新規注文可能額 421,818円」とありますが、これが、現在僕のiサイクル2口座に入っている有効な資金(約53万円の種銭で現在既にUSD/JPY(買)、EUR/JPY(売)を稼働させており、ポジションを持っているため、実質的に新規注文に使用できる資金)となります。
で、順位には、僕が新規注文に使用可能な「42万1,818円」の範囲内で動作させることが可能なものしか表示されません。
つまり、仮に新規注文可能額が200万円の人がこの画面を表示させると、もっと選択の幅が広がるということになります。
◯各項目の確認
次に、蛍光ペンを引いている、1位の列、ポジション間隔「10」、最大ポジション数50、想定変動幅「500」の部分を見てください。
これは、
- ポジション間隔~相場が10PIP動く毎に、「買」ポジションを1つ持ち、やはり相場が10PIP動く(上がる)毎にそのポジションを決済する
- 最大ポジション数~相場が下落するなど、右肩下がりを続けた場合、10PIP毎に「買」ポジションを最大50個になるまで追加し続ける
- 想定変動幅~今持っているポジションの含み損が各々500PIPに達した時、損切決済を行う
ことを意味します。
相場は、基本的に上がったり下がったりを繰り返しますから、例えば昨日エントリーした10ポジションが相場の下落によって含み損となったままでも、残った保有可能ポジション40で、下落したレンジ帯において引き続き売買を行うことが可能となります。
②「最大ポジション数」を減少させるということ
しかしながら、「新規注文可能額(iサイクル2口座の残高)」が少なかった場合、証拠金を少なく運用するために、「ポジション間隔を広くとる(例:10PIP間隔→20PIP間隔)」、「最大ポジション数を減少させる(例:50ポジション→20ポジション)」のいずれか、あるいはいずれも犠牲にして運用せざるを得なくなります。
「ポジション間隔を広くとる」という手法は、リスク軽減のためにも(仮に潤沢な資金を投入していたとしても)、戦略としてはあり得る話です。
①10PIP毎にポジションを取るのと、②20PIP毎にポジションをとるのでは、相場が100PIP下降すれば、①では10ポジション保有、②では5ポジション保有することとなるので、①の方が相場急落の際のリスクが高いということになります。
◯「最大ポジション数」を犠牲にすることは避ける
絶対に避けたいのが、「最大ポジション数」を犠牲にすることです。
こちらを御覧ください(笑)
この画面は、iサイクル2の携帯アプリの画面とよく似ていますが違います。
アイネット証券のループ・イフダンの取引画面です(ほんと、同じ会社がアプリ作ってるんでしょう?ってくらい似ています)。
◯「最大ポジション数」が少ない自動売買の実験的運用
僕は、FXシステムトレードを行うに際し、実験的に「最大ポジション数」が少なかった場合でもなんとか利益を出すことができる余地があるのか?について、ループ・イフダン口座で実験的に運用しており、画像は、現在の保有ポジションの状況となります。
【ループ・イフダンにおける実験的設定】
- 投入資金:10万円
- 通貨ペア:NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
- ポジション方向:買
- ポジション間隔:40PIP
- 最大ポジション数:5
結果は先ほどの画像のとおりです。
※アイネット証券、ループ・イフダンの名誉のために申し上げておきますが、ループ・イフダンが悪い訳ではありません。運用報告中のiサイクル2と区別するため、便宜的にループ・イフダンで実験運用しただけであって、上記少額設定であれば、iサイクル2であっても、他のFXシステムトレードであっても同様のことが起こります。
◯「最大ポジション数」が少なければ利益は生まれない
ポジション間隔は広めの40PIPとし、最大ポジション数は5に調整して、少額10万円でも比較的余裕のある稼働をさせています。
が、稼働しているからといって、これでは全く役に立ちませんよね。
だって、最大5ポジションしか取らない設定で、5ポジションとも含み損を抱えて、新たなポジション取りができない状態なんですものw。
これが、最大50ポジションとかなら、残りの45ポジションで、買ったり売ったりにより利益を伸ばすことができた可能性もありますが、追加保有可能なポジション数が最大値に達してしまっていては、今のポジションをマイナス決済して、減った資金で新たに運用するか、相場がプラス反転するまで気長に持ち続けるかの二択しかありません。
利益を上げるどころか、10万円をただただ縛り付けているだけということになります。
いくら少額から稼働することができると言っても、この結果のとおり、「確かに稼働はしている。だが、何も生み出していない。」という状態になってしまいます。
2 相場の急落に弱い
稼働資金が少額であればあるほど、ポジションを含み損で保持する数が多いほど、レバレッジが高めで運用せざるを得なくなります。
運用レバレッジが高ければ高いほど、相場の急落に対して脆弱となり、常にロスカットによる元本割れの危険に直面することになります。
3 まとめ
長々と書きましたが、まとめると、
- FXシステムトレード(自動売買)はそこそこの元手をもって運用するべき(僕は53万円でiサイクル2を運用し、十分なポジション数を保持できています)
- 僅少な金額で運用を始めると、(確かに稼働は可能だが)利益にならないばかりか、実質的に運用資金を縛りつけるだけになってしまう
というお話でした。
でも、逆を言えば、「そこそこの資金」さえ準備できれば、その資金を種銭にして安定的な利益を出してくれる可能性は十分にあります^ ^